インプラント
インプラント
「インプラント治療は怖いし、危ない。」
そういう意見をよく耳にする昨今です。確かに、インプラント治療はメスで歯茎を切り、骨にドリルで穴を開け、そこにネジのようなもの(インプラント体)を埋め込む、と術式だけ聞くととても怖いイメージがあります。また、顎の骨の中には血管や神経が通っているため、危険と隣り合わせなのも事実です。
しかし、インプラント治療はケースによってはインプラント治療じゃないと実現できないことがあることもまた事実であり、治療の選択肢としては十分魅力的なものです。
当院のインプラント治療は「安全性・確実性をいかに高めるか」ということを前提にするため、以下の方法をとっております。
インプラント治療は、チタン製の人工歯根(インプラント体)を顎(あご)の骨に埋め込み、その土台の上に人工歯を装着することで、天然歯に近い噛み心地と見た目を実現できます。部分入れ歯やブリッジとは異なり、健常な歯を削ることなく残存率も高い治療法です。
インプラント治療を行うにはいくつかの条件があります。まず、土台となる歯槽骨が健康であることです。顎骨が足りない場合は、骨を補う「骨造成」が必要になります。それには、骨移植法、骨再生誘導法、上顎洞底挙上法などがあります。神経との位置関係や歯周病の進行程度なども評価する必要があります。
また、インプラントは全身の健康状態が良好である必要があり、持病(心疾患、糖尿病など)がある場合、施術が難しいことがあります。顎が完全に成長していない成長発育中の子どもも適していません。また、インプラント体の埋入を避けなければならない位置のため、骨や全身状態は問題なくても、インプラント治療ができない可能性もあります。
術後、歯科での定期的なメンテナンスと毎日の丁寧なブラッシングも大切で、これらをきちんと行わないと歯周病に似たインプラント歯周炎を起こし、土台の骨が感染を起こし、インプラントが脱落してしまうことや、最悪の場合、そこが原因で重篤な全身感染症を引き起こし、命に関わる可能性もあります。(インプラント治療に限った話ではなく、歯科疾患の多くは局所感染症のため、全般に言えます。)
インプラントは基本的に3つのパーツからできています。土台となるのが歯槽骨に埋め込むインプラント体と呼ばれる人工歯根です。材質はチタンあるいはチタン合金で、様々な長さや太さがあり、骨量や埋める位置によって選択します。その上に上部構造と呼ばれる人工の歯をかぶせます。
材質はレジン(プラスチック)、セラミック(陶器)、セラミックとレジンを混ぜ合わせたハイブリッドセラミック、金合金などがあり、強度や色調に違いがあります。人工歯根と上部構造の間にはアバットメントという部分があり、2つを連結するとともに人工歯根を守る役割を担います。材質はチタン、チタン合金、ジルコニアなどです。
セメント式…仮着剤を用いて上部構造を固定する
スクリュー式…スクリュー(ネジ)を回して固定する
※メインテナンスが前提なので、上部構造は人為的に取り外せるようになっています。
まずは、レントゲンや歯科用CTを使って、お口の状態を正確に把握することから始まります。CT検査ではスキャンしたお口の中のデータを3D化し、コンピュータ上で、埋入する部位の骨の状態や血管、神経の位置などを確認し、手術のシミュレーションを行います。この検査結果に基づいて最適な治療計画を立案します。内容はカウンセリングで丁寧に説明致します。
インプラントを埋め込む前に、感染症を起こすことがないようお口の中を清掃し、菌の数を減らしていきます。
術式は手術を1回だけ行う1回法と、2回に分けて行う2回法があります。
手術では局所麻酔を使用するため、痛みを感じることは基本的にありません。
2次手術を終え、歯肉の状態が安定したら、型取りを行って仮歯を作製します。この際、かみ合わせや舌の違和感、頬を噛むなどの不具合がないかを確認し、調整します。最終的に完成した人工歯をアバットメントに装着して治療は終了です。
インプラントを長持ちさせるには日常の手入れと観察(メンテナンス)が大切です。清掃は歯科衛生士が専用歯ブラシなどを使用して指導します。また、定期的にかみ合わせの確認やレントゲン撮影をしてインプラント体の周囲骨の吸収状態などを診査します。
装着後1カ月、3カ月、6カ月、1年と1年以内は短い間隔の期間で行い、1年以降は問題がなければ年1回のメンテナンスを行います。