「歯医者さんってまとめて治療してくれないから、時間もかかるし、面倒くさい。一気にやってくれればいいのに。」

こう思われる方はとても多いと思います。私達、歯科医療従事者も実は同じことを感じ、出来れば早く治療をして終わらせてあげたいと思っておりますし、日々それを意識して治療に臨んでおりますが、色々と守らなければならないルールや問題があるため、なかなか実現しにくいものなのです。その理由として以下が挙げられます。

• 保険上のルールがあり、保険適応のためにはそれに準じて歯科治療を行わなければならず、保険点数についても厳しく管理されているため。
• 乳歯は全部で20本、永久歯は親知らずを含めると全部で32本あるため、問題の数が多ければ多い程、通院回数や時間がかかるため。
• むし歯治療といっても、歯の状態によって治療内容が異なるため、重症であればその分治療必要回数が多くかかってしまうため。
• 歯はサイコロのような形をしており、歯茎に埋まってる下の面を除くと、全部で5面（咬む面・表面・裏面・歯と歯の間の2面）あり、「歯が1本むし歯」という場合は、どこの面がむし歯になっているかを検査し、正確に見極め、最大5面治療しなければならないため、状況に応じて同じ歯でも何回かに分けて治療しなければならないことがあるため。（極論ではありますが、永久歯の歯が全てむし歯になっている場合は最大32本×5面＝160面を治療しなければならないということです。）
• お口の病気は単独であることが少なく、むし歯と歯周病は併発していることが多いため、優先順位はあっても、一つでも蔑ろにしてしまうと、結局優先して治療した場所も改善されないことが多く、同時に治すのにも通院回数や時間がかかり、その後の管理が必要となるケースが多いため。
• まとめて治療した際に、治療後に痛みなどの症状が出た場合、治療したどこの歯に症状が生じているのか分かりにくくなるため（原因歯の特定が困難となる）
• 抜歯等をした際に、ブリッジや入れ歯等の次の処置を行うためには、その場所がある程度回復してからでないと出来ず、その分、時間がかかるため
• 服用薬剤によっては休薬期間を設けなければならない場合があるため
• 型取りをした場合、製作物が完成するまでの期間が必要となるため。

上記に挙げたように、様々な理由や問題によって、短期治療の実現が難しいのが現状です。また、歯科治療は「狭い、暗い、細かい」お口の中で行うため、焦って治療すると、重大な事故を起こす可能性が高く、非常に危険です。

そのため、状況によっては、通院回数や時間はかかったとしても確実に1歩ずつ治療をしていくことが、実は1番早く、安全であるのもまた事実としてありますので、当院では、「安全かつ確実性が高い治療方針を立案し、患者さんと共に治療に歩んでいくことを前提に考えております。

• 困ってるところだけを治してほしい
• 転校や転勤、引っ越し、留学等があるため、長期的に通院できない
• なるべくまとめてやってほしい
• 歯科医院に通う時間がそもそもない
• 歯科治療が怖いため、早く終わらせてほしい（歯科恐怖症など）

当院では短期治療の実現のために、日々努力を惜しまず、全力でそれを実現する姿勢ではありますが、例えば通常、通院に10回かかるのを半分以下の回数にする・○○日までに急いで治療を終わらせたいが、治療そのものに回数がかかってしまうなどといった場合に、問診時のカウンセリングや検査結果のもと、以下のご提案をさせていただければと思っております。

• 一回の治療で多数歯をまとめて治療する。
• 期日に制限があり、治療方法でどうしても回数がかかってしまう場合、短期間でまとめて予約をお取りしていただき、期日までに間に合うようにする。
• 歯科恐怖症の場合、麻酔科医と連携し、必要に応じて笑気麻酔等を使用し、鎮静下で治療を行う。

• 多数歯をまとめて治療するため、一回にかかる治療時間が通常に比べて長くなります。
• 数歯をまとめて治療するため、保険適応とならない場合が多く、保険適応の場合でも、診療費　はその分、多くかかります。（高額になる可能性があります。）
• 多数歯をまとめて治療をするため、治療後に痛む等の症状が出やすく、原因歯の特定が困難となる可能性があります。
• 予約制のため、状況によっては必要回数分の予約がまとめてとれずに期日までにどうしても間に合わないことが予想された場合は、お断りさせていただく可能性があります。
• 全身状態や当日の体調によっては、お断りさせていただく可能性があります。
• お子さんの歯科治療で治療の際、過度に非協力あるいは危険を大きく伴うことが予想された場合は、治療を中断し、大学病院等に紹介させていただく可能性があります。